SPECIALIST.05
実験結果から小さなヒントを拾い上げ、
「最適解」を見つけ出すために
思考を巡らせる。

SPECIALIST INTRODUCTION
成田製陶所 製造部製造技術グループ
吉田 昂介2020年入社
新しい素材研究、安定した品質追求の実験室。
製造技術グループには、日々さまざまな依頼が舞い込んできます。品質改良、コストダウン、素材の安定供給、新素材研究…製品の用途やお客様の目的に合わせて実験を進めていきます。
ある時、セラミック素材の入手が困難になって代替品を見つけなければならないことがありました。当社の場合は天然原料を使用するケースが多いので、供給不足になったり、グレードの低いモノしか手に入らなくなったりして、改善が求められるケースがしばしばあります。
こうした局面で、これまで通りの品質を維持するだけでなく、新たなメリットを見出だせるようにしていくのが私たちの役割だと思っています。

粒度、撹拌、焼成速度…。事前想定は緻密で無限。
たとえば粒度が異なるだけでさまざまな特性がわってしまいます。求める結果に到達するために実験を行い、あらゆる可能性を探求していきます。それは撹拌の方法なのかそれとも素材の配合率か…と、細かな変化を想定していきます。
実験室では問題がなかった素材も、量産試験をしてみると違う結果になってしまうこともあります。視点を変え、条件を変え、安定品質のバランスを探り当てたりもします。
こうした詳細なトライアンドエラーを何度もくり返し、品質が担保できる製品を開発していくのです。より多くの仮説を立てて臨めば、その対応策も準備しておくことができます。

条件を揃えて調査分析することの重要度。
お客さまに満足していただける品質の商品を安定して供給するためには、製造環境も欠かせない重要な要素になっていきます。そのために、私たちはできるだけ実際の製造現場と同じ環境・同じ条件で開発や検証を進めることを徹底するようにしています。
あたりまえのようですが、詳細まで考慮しなければ求める試験結果は得られません。
研究室で得られた結果と、実際の製造現場で得られた結果が異なっている、という事態も、往々にして起こります。その差異は一体何が原因なのかを探り当ててみるのです。さまざまな可能性を検証した結果、原料の物質的な違いではなく、当日の気温や湿度の差によって成果に違いが出ることが浮き彫りになったりもします。
些細な変化に思考を巡らせるのです。

手書きの吉田ノートに貯まるノウハウ。
積み重ねてきた経験が私の知見を高めていきます。いつも手元にある手書きのノートにはこれまで学んだ過去の情報が詰まっています。実験検証データ、分析する条件での注意点、細かな素材の違い、上司からの助言などなど、このノートに書き綴って、もう何冊も貯まってきました。
PCでのデータ管理ではなく手書きのノートというのはDX社会と逆をいくアナログ手法なんですが、結局これが一番自分のノウハウになっていくんですね。今後さらに成長して、時期が来たら私個人に蓄積された経験や知識の共有にも取り組んでいければ理想的です。
まだまだベテランの先輩方には遠く及びませんが、もっと経験を積んで、より良い製品をお客様に届け続けたいです。

ベテランの知恵にも助けられ。
一人ひとりのエンジニアたちがあらゆる仮説をたて、可能性を探り、よりよい方法を見つける。またそのための細かい準備を整え、検証を繰り返していくことによって、NARITAの品質が今日まで高められてきた歴史の尊さを実感します。
職場の先輩たちからは実に多くを学んでいます。データをグラフ化することによって課題が顕在化することを教えられました。手で触れた感覚だけで素材の違いや、スラリーの含水率の差を言い当てる現場のベテランの皆さんの仕事ぶりにはいつも驚かされますし、技術のことだけでなく、社内環境を整備してくれるスタッフの気配りにも感謝しています。NARITAの技術はさまざまな人の力によって前進していることを実感する日々です。