SPECIALIST.04
素材(モノ)から燃焼(HOW)へ
専門分野の知見を高め続ける存在に。

SPECIALIST INTRODUCTION
成田製陶所 燃焼機器営業部
安田 益雄1997年入社
知識をいかに活かしていくか。
燃焼黒ずみを無くす試行錯誤。
大学時代、無機材料(セラミック)を専攻していた私は、セラミック技術分野のプロになるべく成田製陶所に入社しました。
そしてこの世界が想像以上に奥深い分野だと知ったのです。当時私が関わったのは、ガス赤外線ストーブに使われる燃焼板(セラミックプレート)を燃焼させた後の黒ずみを低減させるための品質改良でした。
燃料を燃やすと、条件次第で煤が発生し付着します。セラミックプレートも繰り返し使用することで時間経過とともに黒ずんでいきます。見栄えもよくないし、機能も低下していきます。この課題を解決し、量産化することは簡単なことではありません。たとえば焼成する段階で割れてしまったり、熱膨張特性から耐久性に問題があったり、コストが合わなかったり…。解決策を見出すのはとても困難な道のりでした。

セミナー聴講でヒントを見つけた打開策。
なかなか品質改良を成功させるアイデアが思い浮かばない中、打開策が浮かんだのは、とある大学教授のセラミックス材料に関する講演を聞いたことがきっかけでした。講演の中で紹介された『セルシアン』という素材の研究成果。それはこれまであまり馴染みのない素材でしたが、これに賭けてみようと思いました。
上手くいくかどうかは半信半疑でしたがチャレンジしてみる価値はあると思い、研究をスタートさせました。検証と実験を繰り返し、機能、製品精度、耐久性、供給体制、価格設定など、品質改良に向けたさまざまな課題をクリアすることができました。燃焼後の黒ずみもないセラミックプレートを完成させることができたのです。
いつ、どこに問題解決の糸口が見つかるかわからない中、ある一つの素材に出会えたこと、チャレンジできる社風であったこと、完成まで見守ってくれた仲間がいてくれたこと…すべての幸運に恵まれました。

モノの研究からプロセスの創造へ。
やがて私はセラミックの素材に関わる部門から燃焼技術に関わる部門へと異動しました。それまでは素材について知識を深めてきたのですが、現在関わっている燃焼技術での仕事は、セラミックや耐熱金属などの素材を利用して、いかに効果的に「熱」を生み出すかを考えることです。NARITAの製品を作り上げるために、素材(モノ)を取り扱うスキルと燃焼技術(HOW)は、切っても切り離せません。お客様のニーズに応えるために、素材について長年積み重ねたノウハウに加え、新たに燃焼技術についての専門知識を身につけていく日々が始まりました。

新しいバーナという無限の可能性。
お客様にヒアリングする段階ではさまざまな分野の無理難題が飛び込んできます。
『こんな条件でモノを加熱したい』『サイズと機能をこうしたい』『温度を安定させたい』など、顧客のオーダーは十人十色です。
それはすぐに答えの出ないことばかりで、アタマを抱える内容も少なくありません。
難しそうに思える課題に向き合って、いくつものニーズに応えてきた実績がある以上、何か糸口が見つかるはずです。簡単に「出来ない」とは言いません。
「ちょっと試してみますね」とお伝えして、そこからの模索が勝負です。

多様化ニーズにも原則理論に基づいて考察
セラミックという素材から燃焼技術まで、幅広い開発実績があるNARITAグループであれば、これまで培ってきたノウハウと理論に基づいた知見で、お客様のご要望にお応えできると思っています。省エネ、化石燃料からのエネルギー転換への対応など、時代の変化に合わせてこれからも燃焼技術は進化を求められていきます。その分野での要の存在としてNARITAグループの価値を高めていきたいですね。私自身もまだまだ学び続けて専門知識を吸収していきたいと思っています。